スポーツから人材育成を考える

『スポーツシンポジウム2010〜これからのスポーツと地域のあり方を考える』(9/20)に、参加してきました。

SCIX - スポーツ・コミュニティ・アンド・インテリジェンス機構
http://www.kobe-np.co.jp/news/sports/0003457878.shtml

私自身、めちゃくちゃスポーツが得意かっていうと、ぜんぜんそうじゃないんですが。むしろ「文化系」に見られがちやし。走ってるイメージないとか言われるし。(でも、高校はバレー部で落ちこぼれ部員、大学も体育会アメフト部のマネージャーやったりする。遠すぎる過去…。いまとなっては、もうネタ。)

どっちかというと、生の平尾監督&岡田監督を見てみたい、話を聞いてみたいっていう単純な動機です。もちろん、金井先生も。

ラグビーといえば、「スクール☆ウォーズ」。(ふ、古いなぁ。)スクール☆ウォーズ - Wikipediaたぶん、再々々々放送くらいで見た記憶なんやと思いますが。た、たぶん。

なんせ、平尾監督は神戸製鋼の全盛期のころから、とても好きなんです(ルールよくわかってないけど。)ご自身でラグビースクールをされているのは知っていて、その原動力を知りたいなと思ってたので。

で、岡田監督は、昨年末にTwitter上で話題になってた記事を読んでて、とてもとても、お会いしてみたいと思ってたので。日本代表の監督としての覚悟や選手に対する姿勢が、とても参考になるなと思ってたので。

岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは (1/7) - ITmedia ビジネスオンライン


で、結果はもちろん、とてもマンゾク☆
平尾監督、岡田監督、金井先生、河野一郎さん(JOC理事)に加えて、森喜朗さんの特別講演までついてたしね。
お誘いいただいたケンジャさん、ありがとうございました!

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■特別講演『スポーツを通して人を、地域を育てる』

森喜朗さん、首相されてたときのTVでの印象とはちがって、講演がすごくオモシロいという話は聞いたことがあったんですが。(日本ラグビーフットボール協会会長さんなのね。へぇー。)

登場して早々に照明に注文つけるし。会場前列の関係者に話フリまくるし。壇上で動き回ったり冗談を盛り込んだりで、ぜんぜんあきさせないし。
全部が、会場の聴衆の反応を見ながらの、演出。話す内容も、当日新幹線と控え室で大きな柱を3つ立てたくらい(らしい)。しかも、ちゃんと、ラグビーやスポーツに結びつけたイイ話になってるし。

とくに印象に残ったのが、平尾監督の開会挨拶「学校にラグビーチームがないから(SCIXをつくった)。」を受けての言葉。

学校・地域・家庭で「近所のおせっかいやき」がいなくなった。

これって、前に藤原和博さんがおっしゃっていた、「ナナメの関係」ナナメの関係 - hirosuga1005の日記とおなじだ。

あと、ラグビーの精神について。

◎「One for All、All for One」の精神
  トライしたあとのリアクションで、派手なガッツポーズをしない。 
   ←トライした人がエライんじゃない。


◎「No Side」の精神
  「After Mutch Function」が、試合に組み込まれてる 
   ←試合終了の笛がなれば、敵味方関係なく健闘をたたえあう。


※参考:asahi.com:ラグビーの魅力って何だろう - ラグビーコラム・ノーサイド!

ラグビーをやったことがない人にも、「One for All、All for One」って言葉が知られている。それって、よくよく考えたらスゴイことだなぁ。他にそんなスポーツ、思いつかないし。精神論とはちがう、なんていうか、それぞれが精神的に自律したうえで、なり立ってる関係な気がする。


これで思い出したことが1つ。前職(人材業界)と現職(メーカー)の、表彰に対する考え方のちがい。

前職は個人に、現職はチームに、スポットライトがあたる。
現職で表彰式に初めて立ち会ったときのそれは、それまで営業会社でやってきた自分にとっては軽い(いい意味での)カルチャーショックでした。これって、チームプレーで役割分担して仕事を進める人からしたら、あたりまえすぎること。いまの環境がとても居心地よく感じるのは、仕事内容だけじゃなく、そういう風土があたりまえとして存在するからかもしれないなぁ。(前職でたまたま壇上で個人表彰されたときに「まわりのおかげ」とコメントして、上司に「もっと喜んでもらわんとこまる」っていわれたときのすんごい違和感を、思い出してしまった…。たしか、泣いてよろこんでガッツポーズしてる人とか、いた。)

これってそういえば、Googleの人事部長さんの話エアポートテスト - hirosuga1005の日記でも、でてたなぁ。個人のスーパースターを作らないっていう、考え。


■パネルディスカッション『スポーツの“コアバリュー”とは〜世界に通じる人材の育て方〜』

こちらは(も?)、超豪華な顔ぶれのパネルディスカッション。平尾監督、岡田監督、河野一郎さん(JOC理事)と、金井先生。
500名定員っていっても、これで無料って、どうよ?ってくらい、話の中身もとてもキョーミ深いフレーズが盛りだくさんでした☆
せっかくなので、印象にのこった言葉をピックアップ。

◎世界に通じる人材とは?


岡「海外でやることが成功?カンケーない。欧米へのコンプレックスを持ってないこと。」
金「”何歳に、どんな経験を、誰と、どこで”、がダイジ。海外じゃなくても監督が世界を見てたら目線は高くなる。」
河「世界地図を、日本地図(日本が真ん中)じゃなく、真上から見れること。」


◎監督の役割とは?


岡「選手との一線、キンチョー感は必要。腹くくり度合いを伝える。」
平「スタンスはさまざま。愛情と緊張感は両方必要。」
平「動作は反復練習でできる。いつ・どの状況で使うかの判断は、日本人はニガテ。」
岡「”education”の語源は”引き出す”。自分の責任でリスクを冒す。試合は本能・感覚で。練習で、考えさせる。」
河「フィードバックから、フィードフォワード(先取りして動く)へ。」


◎コアバリューについて


平「できなかったことができるようになったときの感動がひとしおなのが、スポーツ。個人じゃなくチームなら、なおさら。」
河「オリンピック招致することで、世界レベルをリアリティを持って観ることができる。2002年のサッカーワールドカップ日本開催がそう。」
平「”育てる”はおこがましい。夢中で楽しむほうが、得ることが多い。」
岡「最近の若い選手は勝ってもあまり喜ばずにとっとと帰る。これは、チームプレーの醍醐味、コアバリューと大きく関わること。ほんとうは勝ちたい、みんなで喜びたいけど、きっかけがない。遺伝子にスイッチが入ってないから、自分で山を作らないといけない。豊かさにたえる遺伝子を持ってないから、スポーツが必要。」
平「”経済効果”って、何?スポーツのコアバリューは、感情を揺さぶられる、生きる力、ソフト、人間を高ぶらせる。」


◎Q&A


岡「夢を忘れないこと。自分で工夫すること。サッカーが好きだという気持ち。運はどこにでも流れてる。つかむかつかみ損ねるか。勝負を分ける8割はちょっとした運。つかみきっても勝てるか分からない。今の環境でできることを。先を心配したり、終わったことを後悔しても仕方がない。」
座右の銘「人間(じんかん)万事塞翁が馬」

聞いてて思ったのは、すごくビジネスの世界ともリンクする話だなということ。スポーツでもビジネスの現場でも、今の時代に、人が育つために必要なことって??
なにより、それを伝える平尾監督や岡田監督が、とても熱を帯びた口調でお話されていたことが、とてもとても印象的でした。